こんにちは、米谷です。
カットの後、床に落ちた髪を掃く時間があります。
美容室では当たり前の光景ですが、私はこの時間がわりと好きです。さっきまでお客様と話していたことや、仕上がりの雰囲気を思い出しながら、次のお客様をお迎えする準備に気持ちを切り替える時間でもあります。
髪を掃いていると、切った長さや量がよくわかります。
今日は少し軽くしたな、毛先を整えるだけでも印象が変わったな、思いきってスタイルを変えられたな。床に落ちた髪を見ると、その方が美容室に来るまでに考えていた時間も少し感じます。
先日、ロングから結べるくらいの長さまで切ったお客様がいました。
「ずっと切りたかったけど、なかなかタイミングがなくて」と話してくださいました。お子さんの予定や仕事の忙しさで、自分の髪は後回しになっていたそうです。切った後、床に落ちた髪を見て「けっこう切りましたね」と笑っておられました。その表情が、少しすっきりして見えたのを覚えています。
40代のお客様や子育て世代の方と話していると、美容室に来ること自体が簡単ではない日もあると感じます。予定を調整して、家のことを済ませて、やっと来られる時間。だから、その時間がただ髪を切るだけで終わらず、少し気持ちが軽くなる時間になればいいなと思っています。
私は、カットで何でも大きく変えればいいとは思っていません。
長さを変えなくても、顔まわりを少し整えるだけで気分が変わることがあります。毛先の引っかかりを取るだけで、乾かす時のストレスが減ることもあります。原因がわかると早いです。扱いにくさの理由が長さなのか、量なのか、乾燥なのかを見てから、必要な分だけ整えたいです。
床を掃き終えて、次のお客様の席を整える時、店内が一度リセットされる感じがあります。
その何気ない繰り返しの中で、お客様それぞれの変化が積み重なっているんだなと思います。
トリコに来る時間が、忙しい毎日の中で少しだけ自分に戻れる時間になりますように。そんなことを思いながら、今日も床を掃いています。


